Laser surgery
(2024年春の花粉症に対するレーザー治療は、予約枠がいっぱいとなりました)
鼻炎・花粉症によるくしゃみ、鼻漏(鼻水)、鼻閉(鼻づまり)に対する治療として、一般的には薬物療法が行われていますが、薬物療法で症状が軽くならない方や、薬を飲み続けなければならない方が少なからずあります。そういう方には、レーザー治療が有効な場合があります。
レーザー治療は、鼻粘膜にレーザーを照射し、
1)腫れている鼻粘膜を収縮させ、鼻閉を改善、
2)鼻粘膜を変性させ過敏性を抑えることにより、くしゃみ、鼻漏を改善させる治療法です。
当院では平日の昼休み時間(12:00~13:00)に事前予約制でレーザー治療を行っています(予約前にまず通常の診察時間に診察を行います)。
治療対象年齢は15歳以上としています。
歯科などでの麻酔アレルギーのある方、血液をサラサラにする薬(ワーファリンなど強めの薬)服用中の方は治療対象外となるため、ご了承ください。
鼻内をスプレーや細いガーゼで麻酔して行うため、通常痛みはほとんどありません。
炭酸ガスレーザーの熱凝固作用により出血は少なく、レーザー照射に要する時間は片側10分程度ですみます。
治療効果を高めるため、鼻内内視鏡を用いて行うのが当院の特徴です。従来の肉眼で行う方法とくらべて、鼻腔の奥までしっかりとレーザー照射ができるのが利点です。
治療は、原則的に1回で完了するようにします。鼻閉、くしゃみ、鼻漏に効果が期待できますが、特に鼻閉への有効率が高くなっています。
レーザー治療の費用は、両側で8,730円(3割負担者の場合)です。他に初診料、再診料がかかります。
勤務医時代から、数多くの患者さんに対して鼻炎のレーザー治療を行ってきました。私自身もホコリアレルギーを持っているため、両鼻のレーザー治療を受けた経験があります。
レーザー治療は、簡単な処置で効果も比較的高く、通院回数が少なくて済む、優れた治療法ですが、全ての方におすすめできる方法ではありません。経験上、レーザー治療がよく効く方、効かない方があるように思います。
くしゃみ、鼻漏が主症状の方では、レーザー照射中の刺激でくしゃみ、鼻漏が起こり、鼻に鼻漏が充満してしまい、レーザー光がうまく鼻粘膜まで届かず、効果が少ない場合があります。この場合、次の方法としては後鼻神経切断術が考えられます。これは広島県内では県立広島病院など一部の病院で行っている手術で、全身麻酔で入院期間も1週間ほどかかるのが問題点です。適応と思われる方は当院で総合病院への紹介状を作成いたします。
また、血管収縮剤の入った市販の点鼻薬をよく使っていた方では、鼻粘膜の硬度が増し、レーザー照射によっても収縮しにくい場合があります。このような場合は、その他の治療法(鼻粘膜の外科的切除など全身麻酔を要するもの)を考慮する必要があります。
鼻中隔(鼻の中央にある骨・軟骨)の曲がりが強い方では、レーザーを照射するための棒状の器具が鼻の奥まで入らず、レーザー照射が十分に行えない場合があります。また、器具が鼻中隔に当りやすく、それによる痛みや不快感が生じる可能性があります。鼻中隔の曲がりが強くて鼻閉がある場合の根本的治療は、鼻中隔矯正手術となります。鼻中隔矯正手術や鼻粘膜の外科的切除は当院で行っていないため、対象となる方は手術可能な病院への紹介状を作成いたします。
レーザー治療が効きやすそうか、効きにくそうかは、鼻内の診察である程度予測できます。「鼻閉が主な症状である。鼻中隔のわん曲があまり無い。診察時に鼻に血管収縮剤のスプレーをすると、鼻閉が大幅に改善される」場合、レーザー治療が効きやすそうと判断されます。
ただ、レーザー治療がやや難しそうと予想されても、良い代替案が無い(全身麻酔のための入院が時間的に無理な方など)ケースでは、患者さんと相談の上、あえてレーザー治療を行うこともあります。というのは、レーザー治療自体に、気になる有害事象(後遺症)は無いからです。
レーザー治療の問題点は、当初は効果があっても、効果が徐々に切れてくるということです。効果の持続期間には個人差があり、おおよそ半年~2、3年ぐらいです。レーザー治療は複数回やり直すことができ、効果が切れたら再度治療可能です。
春の花粉症の方は、花粉飛散前(秋~1月下旬ごろまで)に治療を行うのが最も良いでしょう。花粉飛散時は、レーザー治療は行わないほうが良いと思われます。(花粉症が始まる時期の2週間前までには行う必要があります)
鼻のレーザー治療に興味のある方は、当院までご相談ください。まず一度診察を行い、レーザー治療の適応と考えられる場合は、治療日時を予約していただきます。
治療は前処置から終了まで数十分を要するため、平日の昼休み時間(12:00~13:00)に行っています。土曜日には行っておりませんので、ご了承ください。
治療後は、1~2週間後に経過観察のため受診していただき、最低3回の通院が必要です。
患者さんから聞かれることのある質問をまとめてみました。
Q.01
私(院長)もレーザー治療(炭酸ガスレーザー)を受けておりますが、レーザー照射中は全く痛くありませんでした。鼻の中がこげくさい感じだけです。ただ、その前段階の麻酔薬を浸したガーゼを鼻の中に入れるところが、痛いというか、くしゃみと涙が出そうで嫌な感じでした。
治療が終わって2~3時間で麻酔が切れてきますが、痛みはほとんどありません。鼻腔の粘膜が突っ張ったような違和感と、上顎の前歯が少し浮いたような違和感が1日続いた程度でした。
ただ、多くの患者さんの治療をしていますと、レーザー治療中に痛みを感じる方がある程度はあります。レーザー照射部の痛みよりも、レーザーの照射器具が鼻の骨に当たる痛みの頻度が高いようです。治療中の痛みが気になる場合は、局所麻酔を追加(歯科で歯茎に麻酔をする時と同様に、極小の針で鼻粘膜に麻酔薬を注射)することがあります。
Q.02
治療が終わってすぐ仕事をすることも可能です。鼻出血のおそれはほとんどありませんが、当日は激しい運動は控え、念のため入浴はせずにシャワーのみ可としています。
私の場合、治療後1~2週間は、鼻の中にかさぶたが付き、鼻をかむと粘調な鼻漏と時々そのかさぶたが出てきました。この間は、鼻閉が治療前よりも悪化した感じでした。治療後2週間を過ぎて、かさぶたがあまり付かなくなり、鼻の通りが以前より良くなりました。
Q.03
鼻のレーザー治療で、特に大きな問題となる合併症はありません。患者さんによっては、治療後にできるかさぶたが治療後1ヶ月ぐらいなかなか減少しないことがあります。かさぶたが付いている間は、治療前よりも一時的に鼻閉が悪化することがあり、週に1度か、2週間に1度で通院していただくことがあります。
Q.04
鼻のレーザー治療は、妊娠中や授乳中でも安全に行うことのできる治療法です。
Q.05
鼻炎の治療には、炭酸ガスレーザー、アルゴンプラズマ、高周波メスなどが用いられますが、当院では炭酸ガスレーザーを使用しています。
勤務医時代には、炭酸ガスレーザー、アルゴンプラズマを使用していました。アルゴンプラズマの特徴は、片側2分程度のごく短時間で治療が完了することです。炭酸ガスレーザーは、アルゴンプラズマにくらべると少し時間がかかります。「アルゴンプラズマは急速に鼻粘膜を凝固し、炭酸ガスレーザーはゆっくりじわじわと鼻粘膜を凝固する」といったイメージでしょうか。治療効果については、大差無い印象です。
高周波メスについては、使用経験がないため分かりません。
Q.06
生命保険の契約内容によって異なるため、生命保険会社に問い合わせてください。
鼻のレーザー治療の正式名称は「下甲介粘膜レーザー焼灼術」、病名コード「K331-3」です。これを生命保険会社に伝えてください。
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